テレビウォッチャー

2014年3月14日金曜日

映像メディアの調査はどのように行われているのか? 第2回:本格的「ラジオ調査」

2回:本格的「ラジオ調査」
  ラジオの調査はどんなだったでしょうか?
 初めて全国ベースでラジオの調査が実施されたのは、昭和7年です。全国のラジオ受信契約世帯123万世帯を対象に、ニュース、子供の時間の聴かれ方、全般的なラジオ聴取についての希望、ラジオの受信状況などを調べたもので、調査票のハガキをNHKのラジオ聴取料の集金人が受信契約世帯を訪問して配布。結果を郵送により回収するものでした。  この調査報告書には『聴取者に対するサービス並びに事業発展に資すべき基本的統計に乏しき感ありしをもって・・・(略)・・・ラジオに関する基本的資料を収集し・・・(略)・・・民衆に対する指導機関としてのラジオの重大任務を過誤なからしめんとする云々』ことを目的とすると明記してあり、正にわが国で初めての本格的なラジオ調査でした。

ラジオ調査の内容
 質問項目は7つあって、
1問目は、現在使用中の受信機について、
2問目は、受信機の故障の頻度について、
3問目は、故障をどうしたのか
4問と5問目は、世帯の聴取番組種目について
6問目は、世帯内の個人別番組嗜好について
7問目は、NHK及び逓信省への要望
が、問われました。

結果報告書の発表
  せっかくの大規模な調査でしたが、その結果の報告書の発刊までには、随分長い時間がかかりました。どのくらいの日数を要したと思われますか? 
 なんと「結果報告書」が発表になったのは昭和94月。なんと二年後だったのです。こうした調査はその後も継続されていましたが、有効回収率は30%ほどでしたし、結果が出るまでに長い日数がかかったため、余り役には立たなかったようです。
 やはり考えるべきは調査の「迅速性」と「経済性」ですよね。
 この「調査報告書」は愛宕山のNHK放送博物館の地下倉庫にしまってありますから、ご興味のおありの方はご覧になったら如何でしょう(もちろん閲覧許可を取ってです)。僕がこの報告書を見せてもらったとき、一番興味深かったのは、その職業区分でした。
「商業」、「俸給生活者」、「無職」、「職人」、「學生」、「旅館・料理・貸座敷業」、「病院・醫師・看護婦」、「工業」、「農業」、「雑」、「不明」という区分で、「聴取者職業別比較図」として、「千分比」で書かれていたことです。
 随分時代を感じますよね。
 今のような聴取率調査がスタートしたのは昭和23年からです。戦後GHQの指導の下、昭和21年に世論調査部が設置され、NHK放送文化研究所が戦後初の本格的な聴取率調査を実施しました。

 この調査については、次回に詳しくお話致しましょう。

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