テレビウォッチャー

2014年6月13日金曜日

第11回:視聴率に対する「批判」 その2

高すぎないか? 契約料金 
  前回に引き続き、機械調査が導入された当時の「批判」について、お話ししよう。
  まずは手元にある資料から、当時の視聴率調査のお値段についてお話ししよう。表を見て戴きたい。これは当時の主要な視聴率調査の実施機関とその調査地区、調査方法・契約料金などをまとめたものである。



   こうした料金に対してニールセン社の利用料金は、関東地区が月額500万円、関西地区が400万円という高額なものであった。そのため、“こんな高額な契約料金なんて、見たことも、聞いたこともない”という「料金」についての不満(=批判)であった。次いで視聴率調査をスタートしたビデオリサーチ社の契約料金もニールセン社と似たり寄ったりの料金であった。ただニールセンと違うのは、料金立てをAタイム30分料金の4.3週分をもって、月額契約料金にすると、その「算出根拠」を示したことであった。

得意先からの不満(=批判)
 当時、ビデオリサーチ社に寄せられた批判の一つは、前回にもご紹介したニールセン社とビデオリサーチ社が算出する視聴率の「違い」で、“どっちの数字が正しいのか?”という「正確性」についての批判であった。これについては「サンプルの違い」を説明することで、一応の決着を見た。しかし「契約料金」についての批判は、論拠ともいうべき「原価」が提示されなかったため、納得してもらうのに難渋した。どんなことを言われたのか? 具体的な例として、まずTBS調査部長・久保田了平(敬称略)の言い分をお話ししよう。温厚なお人柄で、ゆったりと話をされる紳士だが、こと契約料金に関しては、こうである。“僕らは視聴率なんて、なくっても「商売」ができるのに、何でそんな高額な契約料金を払わにゃならんのかね~?”である。しかし久保田氏の場合は、まだいい方だ。あれこれ言われたとしても、最終的には提示した「料金」に応じていただけたからである。

 困ったのはNET(現テレビ朝日)調査局長・三浦甲子二(敬称略)であった。当時のNETは教育局としての放送免許であったため、学校放送向け番組を放送せねばならず、畢竟、視聴率は他局に比べ、相当なハンデを負っていたからである。三浦氏曰く。“自分の局に不利になるような低い視聴率をそんな高い金を出してまで買わにゃならんのじゃ!?営業妨害じゃ。さっさと賠償金を払え!!”と、こうである。また彼にはいろんな逸話もある。それは次回に、お話しするとしよう。(つづく)

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