テレビウォッチャー

2014年4月3日木曜日

映像メディアの調査はどのように行われているのか? 第4回:「ラジオ調査」の発展

熾烈な聴取率獲得競争
 「事大主義」、「不利な電界強度」、「宣伝は虚偽・誇大」などの風潮は民放が開局した当初からあり、“NHKよりも聴取率が劣るなら、調査をしない方がいいのではないか?”といった声が、民放内部にあったことは否めない。
 しかし、“Free Radio”の旗印の下、編成、報道、営業を問わずこぞっての決死の努力が奏功し、民放ラジオの「聴取率」は好転していったのである。その最たるものとして、今なお語り継がれているのが、「一対十の編成」である。
 「一対十」とは、どういうことだろうか? それは自局の“弱い番組”つまり、あまり聴取率がとれそうにない番組はNHKの“強力番組”の裏に置き、自局の“聴取率の取れそうな番組”をNHKの“そこそこの番組”の裏に置き、聴取率で互角の勝負に持ってゆこうとする編成のやり方である。この作戦は、まんまと成功したようで、時に民放ラジオの方がNHKを凌駕するときもあったのである。
 例えば手元の1954年のラジオ東京・日本文化協会・日本電報通信社(現・電通)による第3回ラジオ聴取率調査(1954123~29日)の聴取率の結果を見ると、以下の通りである。NHKの“強い”番組には“弱い”番組をぶつけ、NHKの“弱い”番組には民放は“強い”番組をぶつけている様子が窺い知れるだろう。



第三者調査機関による調査の必要性


  これまでの民放の調査は、民放ラジオ局それぞれが調査を実施したり、電報通信社(現・電通)が胴元となって年に数回実施する調査であった。そのためそうした調査では客観性がなく、“信頼性に欠ける”という批判も少なくなかった。やがて第三者の調査機関による調査の実施が検討されるようになった。しかし調査機関を変更するにはいくつか超えなければならない「壁」があったのである。その一つがラジオ聴取率調査という“美味しいビジネス”を独占してきた「電通」に“イエス”と言わせることであった。(つづく)

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